ステンレスという素材について
ステンレス
ゴミ箱についての最後の文章を書く前に、昨日から話に出ていた「ステンレス」という素材について書こうとおもう。この文章を書いている「TADAHIRO KANDORI」は「神鳥工業」という50年以上続く「鉄」の部品を扱う工場で20年以上働いている。ものづくりの本質を突き止めることを視野に入れ、インテリアや絵画など幅広く挑戦し続けている。その工場では、「ステンレス」という素材はよく使う。それなりに、本を読み、学び、ノートなどにまとめながら、実際に手でふれ、圧造し、加工し、製品にしてきた。その中で、感じたことや、思ったことを書こうと思う。
ステンレス=ステイン(錆びや汚れ)+レス(〜がない、〜しない)
鉄を扱う工場で、20年以上働いていると、よく聞かれる質問がある。
「ステンレスって、錆びるの?」と。
それに対する答えは
「もう、自分で答えてるよ」
「ん!?」
実はね、ということで「ステンレス」の語源から話をしていく。
古くからある素材やモノの性能や性質などに、困ったとき「語源」に立ち戻ることにしている。「名は体を表す」という仏教由来のことわざにもあるように、言葉を分解し、想像し、「だいたい」の意味を見出すことが大切だと思う。これは、「検索」の技術と同じくらい「役に立つ」ことだと思う。ホームレスや、セックスレスのように「家がない」とか「セックスがない」と同じように思い巡らすことができれば、「何かがない」という素材なんだな。と考えるきっかけにもなるし、〜レスという単語が出てきた時、解決の糸口に繋がると思う。
つまり、ステンレスというのは、平たく言えば「錆びない」し「汚れない」素材ということ。では、どういった理由で「錆びることがない」のだろうか?
ステンレス鋼とは「鉄」+「クロム」+「ニッケル」
1910年頃、ドイツの製鉄所で「18%のクロム、8%のニッケル」で作られたステンレス鋼が初めて製品化した。それ以来、錆びて欲しくない「鉄」に使われることになる。ナイフやフォーク、包丁やザルなど、水回りに多く使われるようになる。神鳥工業が扱うステンレスの素材は「学校の給食室」の足回り(キャスター)として使用されている。
ステンレス鋼は、鉄にクロムとニッケルを加えた合金。この、クロムやニッケルが「錆びから防ぐ」働きをしている。ステンレス鋼に含まれている「クロム」が空気中の酸素や水と結びついて、表面が「すでに」錆びているものを「ステンレス」と呼んでいる。クロムによる表面の錆びは、めっちゃくちゃ「緻密」でスキマなくぎっしり詰まっている(これを「水和オキシ酸化物の不動態皮膜」という)ので、それ以上「酸素」や「水」が触れるのを防いでしまう。
つまり、「錆び」で「錆び」を防いている。これって、なんだか面白い。例えると、歯医者であまりに痛い治療のとき、太ももとかを「ギュッと」つねったりして、痛さを緩和するのと似ていて、ネガティブなものをネガティブなもので跳ね返しているっていう構造。
ステンレスの中に含まれる「クロム」というのは「メッキ(鍍金)」に使われる。
将棋の「歩」の裏は「と」これを漢字にすると「鍍金」の「鍍(と)」
昔、井沢元彦の逆説の日本史という歴史書を読んでいる時に、出てきた内容が将棋の駒は、全て「王様に献上する宝飾品」という内容だった。香車は「香料」、桂馬「シナモン」、銀は「シルバー」、金は「ゴールド」、玉は「三種の神器のアレ」という感じで話が進んでいた。そして、中でも面白かった内容がどうして「歩」が裏返ると「と」になり「金」と同じ動きをするのか?
「と」は、「鍍金」の「鍍」をひらがなで書いたもの。
これは「鍍金(メッキ)」をした鉄を表している。
実際、鍍金をした鉄は、「金」と見間違うし、パッと見わからない。つまり、「金」と同じ「働き」をする。
という理由で、「と」は「金」と同じ「働き」をする様になる。(左、左上、上、右上、右、下の6つの移動)
最後に
ステンレスという素材は、ジャリって感じがする。鉄と比べ、少しもろい。なので、スリムねじ(木と木を繋ぐときに使うねじ)なんかにステンレスなどがあると、知っている人は「あまり使わない」。プラスドライバーで力を入れすぎると「+」の先端部分が「ぐりっと」潰れて使えなくなってしまう。表面加工がキレイに磨かれているものがたまにあるので、「見栄え」と「機能面」を天秤にかけて「見栄え」が大事だと判断した時、使うときがたまにある。やっぱり、どんなネジでも「メッキ加工」がされた「鉄」には敵わない。
参考文献・・・左巻健男『よくわかる元素図鑑』(PHP研究所)
堀石七生『錆の科学』
井沢元彦『逆説の日本史』8巻などなど