世界でいちばんの「ゴミ箱」を作る 4/4 〜「ぺこり」〜
vol.1 BLOOM
使いやすさは、美しさ
「TADAHIRO KANDORI」のインテリアには、共通するコンセプトがある。それは、「デザインと使いやすさ」の両方を取りに行き、それが難しいと判断した場合、「機能面(使いやすさ)」を選ぶ。と、いうことを前回書いた。ここには、自身の経験と読書経験からの一つの答えになる。
どうして、ゴッホは「ひまわり」を描いたんだろうか?なぜ、蜂の巣の一つ一つの部屋は「六角形」なのか?はやぶさの飛行コースは「対数螺旋」を描くのか?こうした自然界の美しさの「答え」は「使いやすさ」や「過ごしやすさ」にある。この話は、とても思い入れが強く、長い間考えながら、導いた答えなので、次回、これをメインテーマとして書こうと思う。
「偶然そうなった」に答えを見つける
ゴミ箱 『vol.1 BLOOM』を作るにあたり、考えていた主なテーマは次の5つ。
①・・・ステンレスの投入口 (レコーディング・ダイエット)
②・・・新しいバネという方法 (「と、いうことは」で考える)
③・・・ゴミで作るゴミ箱(「絵を描くように、リズミカルに)
④・・・スターバックスのゴミ箱を見て(浦沢直樹「マスターキートン」から)前回
⑤・・・偶然を利用する(腰が痛くならない設計!?)今回
ここでは、最後の「カテゴリー」について書いていこうと思う。偶然を利用するということ。2年くらい前から、ギャラリーにお邪魔して、自分の絵や創作活動の幅を広げていこうと考えた。そこで、知り合った「数多く」の作家さんから話を聞いていると、多くの共通点がある。その一つとして「偶然そうなった」を利用するということ。
たまたま、ゴミとして捨てようと考えていた「木材」が「ピタリ」とイメージに合ってしまったり、初めのイメージや図面では気づくことができなかった使い方に「答え」を見出したりと自分の中ではとても多く「偶然」を採用する。
面倒だから「そう設計した」と言うことにしている
その「偶然」と言うのはそもそも「どんなこと」なのか?それは、このブログの最初の「写真」にある。このゴミ箱「お辞儀」しているんです。可愛いでしょ!?これは、下には「キャスター」が付いていて、そのキャスターを隠すように「扉」のメインデザインがある。はじめは「全く」そうなると考えておらず「やばっ!」前に「傾いちゃうじゃん」と作り直そうと考えた。「だが、しかし!」「どうなんだ?」「ちょっと待て」・・・「あれ?これで、良くないか?」これは、狙ってやっていないことなんだけれど、このゴミ袋を入れる「箱の重心」がめっちゃ微妙なところにあるために「前に」傾けると「コテン」と前に倒れ、元に戻そうとすると「よっこいしょっと」耳をすませば聞こえるくらいに「4つのキャスター」を支えにして元通りに戻る。
そうだ!こう言おう!「真上にゴミ袋を持ち上げるの大変でしょ」
このゴミ箱は多分「世界初」腰の負担を軽減する「手間にお辞儀をするゴミ箱」。手間に引き出し、袋を取り出そうとすると、自分から「あ、そうなの?はいはいはい。どうぞ」って言いながら「取りやすい」ように傾いてくれる。ルンバ並みに高性能なオプションが「偶然」出来上がりました。笑
と、こんな具合で、このゴミ箱に関して初めて、きちんと書いた。まだ、他にも「ゴミ箱」天板の高さはル・コルビジェのモデュロールより「3センチ」くらい低い理由や、手が触れる場所は「鏡面仕上げ」を施した深い茶色のニスが塗られいたりと細かなところをあげれば、まだまだあるけれど、大まかには説明はすることができたと思う。
最後に
最近、父方のおじいちゃんが、入退院を繰り返している。3年ぐらい前に2人だけで話したことがある。それは「もう少し、ちゃんと話ができる時に、いろんなことを話しておくべきだった」という内容だった。神鳥工業という会社は父方のおじいちゃんが創業者になる。そのバトンは父親に渡り、そのバトンは双子の自分と弟に渡ることになるんだろうと思う。徳川も3代目がちゃんとしていたから、その後、200年続いた。一年、一月、一日を一生懸命、向き合っていく先に、あらゆる方向にひらけた未来があることをイメージして。
世界でいちばんの「ゴミ箱」を作る 1/4 〜レコーディング・ダイエット〜
世界でいちばんの「ゴミ箱」を作る 2/4 〜フランク・ロイド・ライトの絵画〜
世界でいちばんの「ゴミ箱」を作る 3/4 〜ピッコロ大魔王とデリケートな拳銃〜