世界でいちばんの「ゴミ箱」を作る 3/4 〜ピッコロ大魔王とデリケートな拳銃〜
vol.1 BLOOM
将棋の日本独自ルールとドラゴンボールZのピッコロ大魔王とベジータ
昨日のステンレスの話の中で、「将棋」の話が出てきた。井沢元彦さんの本を読んでいると、将棋というのは、ボードゲームの中では珍しく「相手のコマ」を再利用できる。これは室町時代にできた日本のオリジナルルール。韓国将棋も、チャトランガ(古代インド将棋)も、中国象棋も、マーク・ルック(タイ将棋)も、チェスも相手の駒を取ることはできても、それを「使うことができない」。
これは、日本に入ってきた将棋がたくさんのルール変更を経て、独自の特別ルールを採用した。これは、日本の漫画にもよく現れていて、例えば「ドラゴンボールZ」では、はじめ敵だった「ピッコロ大魔王」や「ベジータ」がストーリーが進んでいく中で、彼らもまた、仲間になる。昨日の仲間は、今日の敵。また逆も然り。
相手の見た目や、仕草では、その人の本質は理解できないこともある。長く付き合っていく中で、見えてくる「ピッコロ大魔王の優しさ」や「ベジータの温かさ」もある。強いエネルギーがあるがゆえに、間違った方向にもエネルギーが飛び出してしまう。そんな「若気の至り」もあるんだろう。「『大魔王』と学ランの背中に刺繍をしていた高校時代のピッコロ」、「今では、トレードマークになっているベジータの気合いの入った『剃り込み』」彼らの青春の一ページがそうさせたんだと思う。
あ。話が逸れていった。
バスケットボールがうまくなりたくて「ランチェスター戦略」
①・・・ステンレスの投入口 (レコーディング・ダイエット)
②・・・新しいバネという方法 (「と、いうことは」で考える)
③・・・ゴミで作るゴミ箱(「絵を描くように、リズミカルに)
④・・・スターバックスのゴミ箱を見て(浦沢直樹「マスターキートン」から)今回
⑤・・・偶然を利用する(腰が痛くならない設計!?)次回
主に、こういった感じで話が進んでいったと思う。本が好きで、好きな本棚を作ることがインテリアを製作することになる「キッカケ」が大きい。なので、あらゆる「本」を、「創作物」との間にある「媒介」として使うことが多い。漫画であったり、映画であったり、小説であったり。本来、工場で働いている人は、こういったタイプはほぼ皆無。ほとんどの人が、お酒やギャンブル、スポーツや風俗に勤しんでいる(!?)。昔、『スラムダンク』を通して、「ランチェスター戦略」を学び、「中小企業の会社がこの先の業界で生き残るには、イメージの中においての「局地戦」を戦って勝利していかなくてはいけない。そう決意し、たくさんの本を読み、目の前の問題に立ち向かっていった。自分は「機械に対しての確固たる技術」と「それをサポートする知識」では負けないように一生懸命だった。
と、いうことで。そういった戦いの中で、役に立ちそうなことや、失敗してしまったことを今日も書いていこうと思う。
④スターバックスのゴミ箱を見て(浦沢直樹「マスターキートン」から)
ゴミで、ゴミ箱を作っていく(デザインしていく)中で、迷った場所が「取手」の部分。どんなインテリアでも「使いづらいモノ」は愛着が湧いてこないし、「数秒の違い」の使い勝手は、長く使っていくことを想定すると、膨大な時間の無駄を産む。つまり、「TADAHIRO KANDORI」のインテリアには、共通するコンセプトがある。それは、「機能面を第一に」ということ。我慢を強いるようなデザインは問答無用で不採用とする。ただ、どちらを選択するということではなく「デザインと使いやすさのどちらも取れないか?」をまず考え、それができないのであれば、まず「機能面(使いやすさ)」を選ぶことにしている。
今日も、スターバックスへ、このブログを書いてきた。そこで店員さんがよく「ゴミ」の処理をするところを観察する。まず観音扉(門のような)を開ける。そして中にあるゴミの入った箱を手前に滑らせてから、ゴミ袋だけを取り出し、空のゴミ袋をひっかけ、また中へ戻す。この作業は、日々必ず行う「ルーティン作業」数だけで言えば6つある。この作業を少しでも減らすことができないだろうか?
銃のほうが、ナイフより速いと思っているんだろう。
だが、拳銃はデリケートな道具だ。
弾が出ないかもしれないし、思い通り的に当たるとは限らん。
おまけに拳銃は!
抜き、構え、引き金を
引くまでに三動作(スリーアクション)
その点ナイフは、一動作(ワンアクション)で終わる
浦沢直樹
『マスターキートン(完全版)』1
p.248
戦争などに使われる「武器」というのは、「命」に関わる「デザイン」であるがゆえ、妥協なく、卒がなく、洗練された使いやすさがある。ここでは、ナイフのように「作業工程を一つでも減らすこと」の大切さを、『マスターキートン』の漫画で学んだ。まず、表面にある「扉」を無くした。扉がなくなる分「デザイン」の中に『取手』を溶け込ませようと考えた。上から7段目の「取手」のある凹凸を全体に馴染ませるように「後退色」である「深い茶色」にした。強度も担保させるため、全体を裏側からすべて『長さ25ミリのスリムネジ』で固定させながら「取手」の部分はさらに長いねじで両側に2本ずつのスリムねじで固定させてある。
もう一つのコンセプト。それは、
『全て』ドライバー1本で『バラバラ』にすることを可能にするということ。
つまり、一般的なデザインでは
「①扉を開ける」→「②ゴミの入った箱を引き出す」→「③箱の中のゴミ袋を箱から取り出す」→「④ゴミ袋を取り付ける」→「⑤ゴミの入った箱をしまう」→「⑥扉を閉める」という流れを
ゴミ袋を取り付けてある箱を「扉の様に」思わせるデザインにすることで、
「①ゴミの入った箱を引き出す」→「②箱の中のゴミ袋を箱から取り出す」→「③ゴミ袋を取り付ける」→「④ゴミの入った箱をしまう」
「扉の開閉」の作業工程をなくした。
そして、最後のデザインは「ゴミ袋を箱から取り出す」作業を軽減させるということ。これを書きたかったけど、今日は時間がなくなってしまった。明日に分けようと思う。
最後に
今回の話では、コンセプト(こだわり)が2つ。「デザインと使いやすさ(機能面)を選択しないといけない時は、使いやすさを選ぶ」そして、「ドライバー1本でバラバラに解体することができるようにする」ということ。これらは、作っていく中で生まれた自分のこだわり。譲ることのできないポイント。最高のものを作っていくという道程の中で、自然に産まれたもの。少しでも長く、持続可能な世界であり続けるために。
参考文献
浦沢直樹『マスターキートン完全版』1巻
井沢元彦『逆説の日本史』8巻
鳥山明『ドラゴンボールZ』
井上雄彦『スラムダンク』
福永雅文『ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』
https://www.amazon.co.jp/SLAM-DUNK-%E5%85%A831%E5%B7%BB%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88-%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E4%BA%95%E4%B8%8A%E9%9B%84%E5%BD%A6/dp/4088519043/ref=asc_df_4088519043/?tag=jpgo-22&linkCode=df0&hvadid=288065576873&hvpos=&hvnetw=g&hvrand=13410288285682654163&hvpone=&hvptwo=&hvqmt=&hvdev=m&hvdvcmdl=&hvlocint=&hvlocphy=1009461&hvtargid=pla-525367413516&psc=1