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3LDKの広いリビングに欲しいインテリア〜フロアライト編〜

3LDKの広いリビングに欲しいインテリア〜フロアライト編〜

 

タリアセン2

 

突然ですが、コンクリートと鉄の膨張率って同じって聴いたことあるでしょうか?

 

膨張率というのは、温度変化に対して、その物質の体積がどう変化するかという値のこと。

 

鉄が「12.1」に対してコンクリートが「12.0」。これは、全く違う物質としては不思議なことで、この相性の良さがコンクリートと鉄を結びつけ「鉄筋コンクリート」という素材が出来上がりました。

 

どうして「鉄筋コンクリート」がフロアライトと関係があるのでしょうか。

 

そうなんです。実は、この鉄筋コンクリートを建築素材として、1906年に初めて使用した人が今回の主役の人物です。

 

 

 

 

FLOS IC Light F1 と迷ったけれ間接照明と長方形が好きなので

 

 

 

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今回は、フロアライト編です。フロアライトの名作を紹介しようと思います。まずは、FLOSのIC Light F1です。この作品は、空間に突如「線」が引かれ、その末端に球体の照明がバランスを保ちながら部屋を暖かく照らします。

 

この作品は、コンセプトからシンプルなデザインが好きで、一度真似して作ったことがあります。ギャラリー『vol.4 GEKKOU』

 

この作品を越えて自分の心にグサリと刺さった名作があります。それが『タリアセン2』

 

近代建築の三代巨匠の一人「フランク・ロイド・ライト」がデザインした照明です。

 

名前の最後にライトって!?って最初思いましたが、そんな光に魅せられた建築家といえばフランク・ロイド・ライトを他においていないでしょう。

 

 

 

『タリアセン』というのはウェールズの詩人の名

 

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フランク・ロイド・ライトはアメリカ人ですが、彼の祖父である、リチャード・ロイド・ジョーンズはもともとイギリスの南西部(左下。笑)にあるウェールズ地方から子供10人を連れてアメリカに渡りました。

 

(イギリスの皇太子を現在もプリンス・オブ・ウェールズと呼ぶのは、征服の象徴的な名残です。1284年にイングランドに強制併合しました。)

 

そのウェールズの詩人の名前が「タリアセン」と言いました。そこからついた名前がタリアセン。ただ、照明についた名前ではなく1925年から1959年までアリゾナ州スコッツデールに建築した設計工房及び共同生活のための建築群をいいます。

 

ライトは1906年のユニティ・テンプルという教会を建築したときに鉄筋コンクリートを初めて使用した異才の建築家。

 

彼は、伝統的な「ギロチン窓」と呼ばれる上げ下げ窓を「スイング式の窓」を採用したり、建築における「立派なエントランス」を嫌っていました。

 

特に自然保護論者で有名な建築家。この「自然保護」というのがこの「タリアセン」のデザインに繋がっていきます。

 

それは、製材工場やキャビネット製作工房を訪れた際に…

 

 

当時の流行の装飾はカーブや渦

 

 

 

工場や工房の床の上には「おがくず」や「切り屑」が山になっていました。それは、当時流行していた装飾がカーブや渦だったことでした。それがロココ様式の猫脚の家具です。その角を落としたり、カーブを出したりするときに出る削りカスがものすごい量だった。

 

それを垣間見た彼は「アメリカの森の半分が横たわっているように感じた」と言われています。

 

僕も、鉄工職人でありながら、木工にも挑戦している変わった人だからわかることです。シンプルに怪我をしないように角を落とすだけの削りカスが一旦、広がってしまうだけで従業員から白い目で見られていまします。それが猫脚やヨーロッパ家具のカーブまで落とそうとし、それがメインの仕事となるとその「削りカス」だけでそう感じる彼の気持ちもわかります。

 

そこで材木の無駄が最小ですむ「細長い線的な部材」で作成できるようにデザインしました。

 

その建築群がタリアセンであり、その一角を照らすライトが「タリアセン2」という長方形の箱からこぼれ落ちるフロアライトです。

 

(僕も、直線や長方形、正円や正方形を組み合わせることをよくします。それは、いろんな家具を眺めて観察してみて、そういうシンプルな形の方が「かっこいいと思ってしまうからです。フランク・ロイド・ライトは「直線の材木」を選択した理由が「アメリカの森のこと、地球環境のこと」を考えて到達しました。自分の作品には、そもそも「加工」できる環境ではないということと、最後には「世界平和」に近づくような活動をしたい。そう思っているからシンプルな形に近づいて行きました。「絵」も「インテリア」も少し、彼に似ているのは、なんだか不思議な気持ちになります。)

 

 

 

1894年の「有機的建築」と呼ばれるスピーチにて

 

ただ、フランク・ロイド・ライトが現代にタイムスリップをし、「タリアセン2」という「フロアライト」が富裕層に向けて販売され、大きな売り上げをあげていることに心から喜んでいるのでしょうか?

 

僕は、そこに疑問を持ちます。

 

1894年に彼はスピーチをします。

 

「敷地に特徴となる自然があるのであれば、住宅が敷地から成長しているかのようにし、環境と呼応するように形づくりなさい。そのような自然がない場合は、自然が機会を与えられた場合にどのようになるであろうか想定して、できるだけ静かに、本質的で、有機的にしなさい」

 

この最後の「有機的」という言葉があまりに当時の人たちに好評で「有機的建築」とまで呼ばれたりします。

 

彼は、20世紀の建物は17世紀の建物を模倣するべきではないと言っています。

 

おそらく「線的な部材」を使うことにより木材のロスは無くなるかもしれないけれど21世紀の家具は20世紀の家具を模倣するべきではない。そう言うんじゃないでしょうか?

 

今、LED電球という革新的な発明がされ、それを活かしたデザインをした「フロアライト」をフランク・ロイド・ライトであれば作るような気がします。

 

 

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