TADAHIRO KANDORI(タダヒロ カンドリ) TADAHIRO KANDORI(タダヒロ カンドリ)では本好きアーティストによるインテリア雑貨を販売しています。人気小説から受けた発想を元にデザインした掛け時計の他、読書家の方に向けた浮かぶように本を飾れるおしゃれな本棚、左利きの方におすすめの書斎デスク等、人生を変える一冊の本のように心に残るデザインをお届けします。

使いやすさは美しい〜20世紀最高のペンダント『PH5ランプ』〜

使いやすさは美しい

 

 

本棚の間接照明

 

 

 

 何をデザインするべきか?インテリアが究極フォーカスするべき、「ポイントは」どこなんだろう?見た目の美しさなのか?はたまた手触りの良い質感なのか?

 

TADAHIRO KANDORIが、力を入れるポイントは『生活をデザインする』ということ。抽象的で、イメージが浮かびづらいので、具体例をあげようと思う。たとえば、椅子がある。その椅子は作業をするために使うとする。フローリングの室内を前へ後ろへ、スムーズに移動することに価値があるとする。そうした場合。椅子の足には、「キャスター」が取り付けられていることが『美しさ』の第一ステップであり、そのキャスターの滑らかさが『美しさ』の質を高める。

 

蜂の巣は『どうして、六角形なのか?』

 

蜂蜜の瓶を描いた絵

 

 巣室は水平方向よりおよそ13度上を向いており、蜜がで外に出ないようになっている。巣室の厚みは、2000分の数ミリという信じられないほど小さなばらつきしかないほど精密に調整されている。そして、驚異的なのは、多くの働きバチの産物であるにもかかわらず、出来上がったとき規則的な配列となっており、タイル職人がそれぞれ違う地点から仕事をし始めたときに予想される食い違いがない。(←正方形を床に敷き詰めたことがあるけれど、だんだん、ズレが止まらなくなる)

 

 蜂の巣が採用した「六角形」は、もっとも少ない壁の長さで、もっとも広い空間を埋めることができる。ダーウィンは「蜂の巣は労働とロウを節約するためには完璧だ」と断言するくらい。つまり「六角形」は「効率的」ということ。

 

 蜂自身が六角形を選択したことは、「遺伝的」なプログラミングによるものなのか、単に水に泡がひしめき合うような形でできる「物理現象」なのかは、まだ、自分の読んだ文章からは、解らない。ただ、「六角形」で部屋を埋め尽くす「巣」のカタチは、蜂にとっての「使いやすさ」に関してはどの学者も認めること。

 

 

木の枝は「137.5度」回転したところから枝を生やす

 

抽象画

 

 上から見て、時計回りに約137.5度(この角度を黄金角という)回転させたところから、枝が生え、葉っぱが出てくる。これは、太陽の光を一つ一つの葉っぱが取り入れるため。ひまわりの種も、オームガイの部屋も、ハヤブサの飛行空路も、パイナップルの種のつき方も、黄金比や、黄金角、黄金方形に関係し、カタチを選択する。こういった自然の産物は、「生きていく上で」自然に「効率」を選んでいる。

 

 翻って、人間も地球に生きる「自然」の一つとするならば、インテリア家具や、絵画、照明にも『使いやすさを極めた美しさ』が必要に感じてくる。

 

 

20世紀最高のペンダント〜ポール・ヘニングセンの10年〜

 

ノートに描いた絵

 

 大塚家具で一番売れている照明は何かと尋ねると「ポール・ヘニングセン」の開発したPH5が、真っ先にくる。この照明は20世紀最高のペンダント(ライト)と呼ばれている。10年に及ぶ研究により、シェードには光が37度であたり、その反射光によって部屋全体を照らすことが最高の解決策とした。これは部屋全体を夕暮れ時の明るさで灯すように作られた。この形は1920年代に作られたにもかかわらず、現在、大きな変更もなく、多くの人に愛されている。そして、そのシェードの曲線は黄金方形の中にある「正方形」の頂点を結び続けていくことでできる「対数曲線」で作られている。

 

 インテリア家具の使いやすさや、効率の良さには、人の動線という「美しさ」がある。生活というのは「何本も引かれる動線」でできている。その「短い線の長さ」が「効率」であり、線の少なさが「ストレスフリー」だと思う。ファッション業界でよく言われる「オシャレは我慢」という言葉があまり好きになれない。「我慢」という言葉のなかに、それ以上、考えてはいけない。というどこか、「思考停止ボタン」が見え隠れする。

 

 蜂の巣や、PH5、アラジンの石油ストーブの共通点

ストーブ

 

 最初に「美しさ」があるのではなく「機能面の充実」をナチュラルに望んでいく「形状変更」の到達点に「美しさ」があるならいい。しかし、「表層的なかっこよさや、美しさ」には、持続可能な世界のイメージには、そりが合わない気がする。ポール・ヘニングセンはどうやったら部屋全体に光が届いていくのかを追求し、アラジンのストーブは、どうやったら「灯油」が無くなりづらいのかを追求したカタチ。これは、蜂の巣に習う優れた、物作りの本質があるように思う。

 

最後に

浸された水に浮かぶアクセサリー

 

 今回は、「使いやすい」を考えていった。道具の使い方や、工具のしまい方、ハンマーの打ち方、刃の研ぎ方。現場で教わってきたものだけではなく、日々、新たな情報にアクセスすることも同じくらい大切なことだと思う。「使いやすい」インテリアはそれだけで、テンションが上がる。

 

参考文献 『かたち 自然が作り出す美しいパターン1』フィリップ・ボール

     『世界の傑作品 12 モダンインテリア照明』ワールドフォトプレス

 

 

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